「原子力ムラ」恐れた偽名はもう捨てた カメラ回した映画監督の覚悟

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編集委員・大久保真紀
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 「反原発に関わると仕事が来なくなるよ」

 テレビCMを中心に企業プロモーションなどの広告の世界でフリーの映像作家として生きてきた小原浩靖さん(58)はそう忠告された。自身も「何が起こるかわからない」と心配があった。

 そこで考えついたのが、偽名を使うことだった。「拝身(おがみ)風太郎」。マンガやテレビ時代劇で一世を風靡(ふうび)した「子連れ狼(おおかみ)」の主人公「拝一刀」と好きな作家の「山田風太郎」からそれぞれ姓と名を拝借した。

問われる本気度、「僕にはできない」

 それは、東日本大震災後の2012年夏のことだった。脱原発運動の先頭に立つ河合弘之弁護士(78)の映画づくりを手伝ってほしいと、知人から声を掛けられた。河合弁護士が製作費を出すという。

 東京電力福島第一原発の事故を目の当たりにし、「原発はとんでもないものだ」という認識はもってはいたものの、そのときは全国で起きている原発の運転差し止めを求める訴訟のことなどは知らなかった。河合弁護士の著作などを読み、彼の本気度を感じた。

 監督を依頼されたが、「映画を作るのは河合さんぐらい本気じゃないとできない。僕にはできない」。

 しかし、その後、SOSが来…

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