野球カステラ、奈良で90年間現役の味 謎のアルファベットの形も
浅田朋範
3世代、90年にわたり同じ焼き型を使い「野球カステラ」を作り続けている店が奈良にある。ベビーカステラのようなお菓子は各地にあるものの、バットやグラブなどの形をしたカステラは今や途絶えかけている。野球カステラのともしびを消すまいと、愛好家は保存活動を始めた。
奈良観光の起点、近鉄奈良駅から北に徒歩15分ほどの住宅街に、「畠山製菓」はある。店主によると、奈良で野球カステラを焼いているのはこの店だけという。
1933年創業。今は3代目の畠山幸仁さん(53)が営む。一度移転しているが、店で直火で手焼きし、近所の人や観光客が集う光景は90年間、変わっていない。
祖父の秀雄さんは、関東でせんべいやカステラなどの菓子作りを学んだ。「奈良に戻ってから、野球カステラの焼き型を手に入れたらしい」と幸仁さん。型は鋳鉄製とみられ、1丁約4キロとずっしり重い。
同店では現在、5丁の焼き型…