思い描いた通りの直球、本塁打にされて…明石商・常深君、全力の夏

大下美倫
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 (25日、高校野球兵庫大会 社2―0明石商)

 明石商のエース、常深(つねみ)颯太選手(3年)は相手打線の粘り強さを感じていた。ボール球を見極められ、球数がかさむ。

 三回表2死、一塁には四球で出した走者。ボールが先行し、3ボール1ストライク。ここで選んだのは自信のある内角直球。投げた瞬間、思い描いた通りの球だと思った。

 だが、相手は内寄りの球をうまくさばく。はじき返した球は大きなアーチを描いて左翼スタンドへ。2点本塁打となった。

 「全力でした」。あれ以上はなかった。

 2019年の春夏甲子園で4強入りした中森俊介投手(プロ野球ロッテ)らの背中を追って野球部の門をたたいた。

 あこがれの先輩と同じ背番号「1」を昨秋から背負う。「ふがいないピッチングはできない」。責任感が芽生えた。

 同時に、信頼できる仲間の存在もよく分かっていた。今大会、5試合で失策はわずか1。打たせて取るスタイルが生きた。

 本塁打を打たれた直後、稲岡俊太主将(3年)がマウンドまで駆け寄り声をかけてくれた。一瞬は落ち込んだが、仲間の励ましで気持ちが吹っ切れた。「もう1点もやらない」。スイッチが入り、そこからは被安打0。8回を投げきった。

 目指していた甲子園の舞台に立てないという心残りはあるが、夢は続く。「大学で、高校で達成できなかった日本一を目指したい」(大下美倫)