第7回見せかけの「グリーン」投資駆逐へ 求められるリテラシーと厳しい目
環境への配慮をうたい文句に資金を集めるが、実態を伴わない「グリーンウォッシュ」が問題になっている。マネーの流れが環境(E)や社会(S)、ガバナンス(G)の観点から見直され、新たな資本主義を模索する動きに、グリーンウォッシュはどんな影響をもたらすのか。ESGに詳しい高崎経済大学の水口剛学長に聞いた。
――欧米で大手金融機関のグリーンウォッシュ疑惑が話題になっています。
「投資が利益を生むだけではなく、サステイナブル(持続可能)な社会に近付く手段として重要だという認識が、この数年間で広まりました。ESG投資は今後拡大が見込まれ、金融機関にとって魅力的な市場であることは間違いありません。欧米の金融機関は悪意を持ってだましたというより、宣伝が先走って態勢が追いつかなかったように見えます。摘発事例などを機に、態勢整備が進んでいくのではないでしょうか」
――グリーンウォッシュを放置すると何が起きるのでしょうか。
「ESGだと思っていたものが実は違ったということになれば、投資家の信頼が失われ、誰も信じなくなります。関連の商品が買われなくなり、ESG投資の市場が崩壊する可能性があります。また、本来はESGに向かうべき資金が届かなくなり、取り組みが遅れます。例えば、脱炭素であれば気候変動リスクなどが高まり、結果的に経済活動に悪影響を与えます。投資家の利益も損なわれるでしょう」
何がグリーン?解釈の差が問題の背景に
――資産運用会社にESG関連の情報開示を義務付けるなどの基準づくりが日米欧で進んでいます。規制強化で見せかけのESGはなくなりますか。
「ゼロにはならないと思いま…