父の背中追いかけ桜美林へ 立役者の紺野主将、気付いた1勝の重み

狩野浩平
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 27日、高校野球西東京大会準々決勝、日大三9―1桜美林

 8点を追う八回裏2死、この回が無得点なら桜美林はコールド負けだ。主将の紺野翔大(3年)は次打者席で何度もフルスイングし、出番に備えた。「胸を張って終わりたい」

 桜美林は春夏10回の甲子園出場を果たし、全国制覇の実績もある強豪だ。紺野にとっては、社会人野球でもプレーした父・光久さんの母校でもある。父の背中を追いかけるように入学し、主将を任された。

 だが新チームのスタートは最悪だった。昨秋、今春の都大会は1勝すらできず、1次予選敗退した。

 今夏のチームは選手の半分が2年生だ。「下級生ががんばってくれている。自分たちがしっかりしないと」。夏もすぐに負けるのではないか……。そんな不安を振り払うように、紺野は自らを奮い立たせた。

 初戦はコールド勝ちだったが、心底うれしかった。「秋と春の負けがあったからこそ、1勝の価値がわかった」。一戦必勝をモットーに、一つ一つの試合を大切に戦って神宮の舞台までやってきた。「正直、ここまで勝ち上がってこられるとは予想していなかった」

 この日は中盤まで競り合ったが、日大三の強力打線を抑えきれなかった。結局、紺野には八回の打席が回ることはなかった。

 試合に向かう紺野に対し、父は「悔いの残らないよう積極的にプレーしろ」と送り出してくれた。その言葉通り、全力でプレーした。「自分たちの高校野球は終わったけど、桜美林高校野球部は終わらない。甲子園出場という目標は後輩たちに託します」。そう話し、胸を張って球場を去っていった。=神宮(狩野浩平)