第13回ハラスメントやめぬ監督は淘汰される 監督協会理事長・本木克英さん

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聞き手・細見卓司、佐藤美鈴
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 性暴力やハラスメントをなくそうという「#MeToo」の声が広がるなか、映画監督による性加害やハラスメントも指摘されています。日本で唯一の「映画監督を生業とする者」の協同組合として1936年に誕生した日本映画監督協会の理事長に今年6月に就任した本木克英さん(58)は、「旧来的な協会のイメージや価値観を変えることが必要。希望を持って映画界で仕事ができる環境を整えたい」と話します。

もとき・かつひで

1963年生まれ、富山県出身。早稲田大卒業後、87年に松竹に助監督として入社。勅使河原宏監督や木下恵介監督らに師事し、98年「てなもんや商社」で監督デビュー。主な監督作に「釣りバカ日誌」「鴨川ホルモー」「超高速!参勤交代」「空飛ぶタイヤ」「大コメ騒動」など。日本映画監督協会は、劇場用映画やドラマ、アニメ、CMなどあらゆる映像作品で「監督」と称されるクリエーターを『映画監督』としている。入会は任意で、7月時点の会員数は478人。

 ――理事長就任をどう受け止めていますか

 「映画業界の問題が数多く指摘されているなかで就任することになり、大変重責を感じています。映画界がより良い未来を迎えられるように力を尽くしたい。監督の表現の自由や、著作権の確立・擁護を協会の運動理念としていますが、映画監督は著作者として認められていても、著作権は確立されていないままです」

 「高齢の会員が多く、会員数は年々、減少しています。現役で活躍している一人でも多くの若手監督に入会してもらい、フラットな人間関係や敷居の低い運営を心がけながら、著作権法の改正や性暴力・ハラスメントの排除、制作現場における環境改善に取り組んでいきたいと考えています。映画監督たちの87年の歴史がある、文化資料的な側面も持つ協会ですので、それを維持して次世代につなげたい。就任にあたり、前理事長の崔洋一監督からは『本木らしく柔軟に、改革をすべてやってほしい』と言われました」

 ――協会は28日、「いかなる暴力も許さない環境作りを目指す」などとする声明を出しましたが、一連の告発が報じられてから4カ月以上かかりました

 「個人としては声明を出したいという意向は強く持っていました。性被害やハラスメントの問題が明らかになって、映画界全体が因習として暴力を許容するイメージがあると思いますし、それに対して非常に危機感を抱いています。一連の問題を受けて、理事会のなかでも、声明を出すべきかどうか議論をしてきましたが、『事実が明確になっていない週刊誌報道に反応すべきではない』『声明を出すにしても、具体性を持たせるべきだ』などと意見が色々出て、なかなかまとまらなかったという経緯があります」

 「とはいえ、どこか協会が後ろ向きな姿勢だと捉えられてしまっているという自覚はありましたし、そうしたことが原因で若い監督たちが入会しない理由になっているとも思います。今回の声明が、協会は『暴力やハラスメントを決して許さない』との姿勢を示す出発点になればと思っています」

助監督時代「いやだな」と思った手法

 ――一連の性被害の告発や、そうしたことが起きてしまう温床とも指摘されるハラスメントの問題をどう捉えていますか

 「映画界の表に出てきたこと…

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