変わらぬ現実が当たり前になる怖さ 沖縄の過去といまをつなぐ音楽

有料記事沖縄・本土復帰50年

藤谷健
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 沖縄在住のピアニストで作編曲家の辺土名(へんとな)直子さん(45)は、島の歩んだ道のりを振り返りながら、自分の思う等身大の沖縄を表現してきました。先人たちのたどった道は、今に、そして未来に続いている。そうした想(おも)いを数々の作品に託し、沖縄で、そして世界で起きていることを多くの人に知ってもらいたい、と話します。言葉ではなく、音楽や芸術でどのように伝えるのか。そして何かを変えるきっかけになるのか。話を聞きました。

 ――6月23日の慰霊の日に、辺土名さんが演奏をすると聞き、「平和の礎」を訪ねました。この日は夜明け前から、花を手向け、祈りを捧げる方々の姿が途切れることはありませんでした。梅雨が明け、日差しが容赦なく照りつける中、高齢の方々がおそらく子や孫と一緒に、碑に刻まれた、亡くなられた親族の名前をなでるように触れ、思いをはせ、手を合わせる。戦後77年たったいまも、過去と自分たちをつなげる営みが続いていることに驚きました。

 「市民グループの呼びかけで、碑に刻まれている24万人を超える犠牲者のお名前を一人ひとり読み上げるプロジェクトに賛同し、閉会の際に自作の曲を演奏する機会をいただきました」

へんとな・なおこ

1977年、沖縄県宜野湾市出身。ピアニスト、作編曲家。大阪芸術大学音楽学科作曲専攻。地元に戻り、沖縄音楽を軸とした作編曲活動を続ける。沖縄で開かれた宮本亞門さん演出の舞台で楽曲制作を担当。歌手Coccoは県立開邦高校(沖縄県南風原町)時代の同級生で、今年2月に発売されたデビュー25周年記念アルバム「プロム」に収録された沖縄民謡「てぃんさぐぬ花」の編曲を担当しているほか、共演多数。

 ――刻銘者の読み上げは、慰霊の日の朝まで、12日間昼夜たがわず続けられたそうですね。生徒全員が参加した中学校、元米兵の家族の方、東京からオンラインで参加した人たち……。

 「沖縄各地あるいは県外で、いま生きている人が夜も昼もつねに誰かの名前を呼んでいる。何かぬくもりを感じる時間でした。呼ばれた人もうれしかったんだろうと思います。戦争を体験された方、遺族のみなさんが高齢となり、記憶や慰霊の場を引き継ごうという願いで開かれたと聞いています。私も、一人ひとりに向けて、祈りを込めて演奏しました」

記事後半には演奏の様子も

「悲愴」を聞いて流れた三線の音

 ――その時に演奏したのが…

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    長島美紀
    (SDGsジャパン 理事)
    2022年7月30日9時48分 投稿
    【視点】

    SDGsでも重要な問題として取り上げられる「生物多様性」は、人間社会の多様性、さらには文化の多様性も含むことをご存じでしょうか。地球上を見渡すと自然環境の特徴に育まれた多様な生活習慣や文化が形成され、そしてその生活や文化は自然と密接な特徴を