優勝決めたポール直撃サヨナラ弾 県岐阜商・村瀬、弱気振り払う一発
(28日、高校野球岐阜大会決勝 県岐阜商7―6帝京大可児)
狙っていた。
同点の延長十一回。先頭で左打席に向かった県岐阜商の村瀬海斗は口を真一文字に結んで、素振りを繰り返す。「よし、俺が決めてやる」
初球のスライダーをとらえると、高く舞った白球は右翼ポールに直撃した。公式戦初の本塁打がサヨナラの一打に。「夢みたい」。ベースを1周し、笑顔で待つ仲間の姿を見ると涙がこみ上げてきた。
一昨年の夏の甲子園での交流試合は1年生ながらベンチ入りしたが、以降はくすぶった。この夏、打撃力を買われて初めて背番号2をもらったが、守りは苦手で控えに回る試合もあった。
それでも、「打ち勝たないと甲子園はない」と鍛治舎(かじしゃ)巧監督(71)。大一番に8番捕手で起用された。
八回は投手への配球が単調になってしまい、一挙5点を奪われて一時は4点差をつけられた。
その裏に追いつき、なお1死三塁の好機で村瀬に回ってきたが、1球も振らずに三振していた。
「弱気になっていた。ベンチで監督にカツを入れられて、気合が入った」。次の打席の積極的なスイングにつながった。
計13安打で7得点。終盤の打ち合いを8番打者の一発で制し、30回目の夏の甲子園だ。
鍛治舎監督は「まさかホームランを打つとは。次の打者の代打の準備をしていたから見ていなかったけれど、よく打ってくれましたね」と笑顔だった。(山口裕起)
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