第5回「田中・大平時代に戻したい」 竹下訪中で言及、鄧小平の思惑とは

有料記事

編集委員・藤田直央、里見稔
[PR]

 日本の対中外交では、首相の訪中前に外務事務次官が「地ならし」で訪中することがある。1988年7~8月の村田良平がそうだ。8月下旬に訪中する首相の竹下登にあてた出張報告書が、3年前に開示されている。

 村田が会った外相の銭其琛らは、最高実力者・鄧小平の言葉を引き、竹下訪問で「今後10年の日中関係の安定強化を図りたい」と語った。その言葉とは、「日中関係を田中・大平時代に戻したい」というものだった。

連載「日中国交正常化50年 外交記録は語る」(全13回)

日中国交正常化から9月29日で50周年を迎える。この間、さまざまな政治家や官僚らの往来があり、日中関係には紆余曲折があった。1970年代末から90年代初めにかけてを外交記録から読み解く(敬称略)。

 「田中・大平」とは2人の首相で、72年に日中国交正常化を果たした田中角栄と、79年に中国への途上国援助(ODA)供与開始に踏み切った大平正芳のことだ。当時の日中関係に「戻したい」とはどういうことか。村田は出張報告書にこう記した。

「頭の高い日本」 中国が持ち始めた不信感

 「田中・大平時代のわが国は…

この記事は有料記事です。残り2425文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
【10/18まで】有料記事読み放題のスタンダードコースが今なら2カ月間無料!

連載日中国交正常化50年 外交記録は語る(全13回)

この連載の一覧を見る