エース東、監督を追って愛知啓成へ 悩んだ時に相談…これからもそう

関謙次
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 28日、高校野球愛知大会準決勝、愛知啓成4―7愛工大名電

 同点で迎えた七回表。愛知啓成のエース左腕、東祥大投手(3年)が投じた直球が、わずかに内側に入った。痛打された打球が左前で弾み、勝ち越しを許す。「やっぱり強い。甘い球は見逃してくれなかった」。気持ちを切らさず次打者から三振を奪ったが、ここで降板。高校最後のマウンドは悔しさが残った。

 その裏にチームは追いついたが、八回に突き放されて敗戦。東投手は涙しつつも「自分はみんなを落ち着かせる立場だと思った」。泣き崩れる仲間たちに励ましの声をかけ続けた。

 三重県伊勢市出身。小学4年だった2014年、地元から近い三重(松阪市)が夏の甲子園で準優勝まで駆け上がった。率いていた中村好治さんが19年に愛知啓成の監督に就任。東投手は中村監督の指導を受けたくて翌年同校に入学し、寮生活をしてきた。

 体重は50キロ超だったが、「食トレ」の成果で最大約70キロに。球速も約15キロ伸びて130キロ台後半になり、エースの座を射止めた。一塁側に踏み込むフォームは中村監督の勧めだ。大会直前には不調から横手投げを試したが、「やってきたことを自分が信じずにどうするんだ」と、復調に導いてくれたのも中村監督だった。

 東投手は2日前の準々決勝で右太ももを痛めて降板。この日の試合中にも、古傷の左足首に違和感を感じた。それでも「やってやる」と挑む気持ちを持ち続けた。

 試合後、2年半を振り返り「人間的にも選手としても大きく成長させてもらえた。大学生になっても、監督に野球や将来のことを相談したい」と感謝した。

 中村監督は「言ったことを忠実に守る真面目な子だった。勝負事に弱いところがあったが、一皮むけた」と成長をたたえた。(関謙次)