生駒への心遣い、天理監督「私の指示じゃない」 自ら考え主将が動く

篠原大輔
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(28日、高校野球奈良大会決勝 生駒0-21天理)

 天理は今大会中、学校で打撃練習をしてから球場入りしてきた。その練習で20分ぶっ通しで打撃投手をやってくれるのが、ベンチ外の3年生内野手の2人だ。

 中村良二監督は言う。「自主的に、汗だくになって四、五百球も投げてくれる。頭が下がります」

 この日も同じようにやってきた球場で、生駒の異変を知る。中村監督は選手たちに「手を抜く方が失礼。全力でいこう」と告げた。

 序盤からの猛攻で、試合の行方は早々に決まった。九回、生駒の攻撃。2死をとったところで、天理のバッテリーと内野手がマウンドに集まった。輪の中で、主将の戸井零士(3年)が言った。「集まって喜ばないで、すぐに整列しよう」。万全な状態で臨めなかった生駒への配慮だ。そして実行した。

 中村監督は閉会式後の取材で、泣きながら話した。「私からの指示じゃないです。目配り気配りと言ってきましたけど、すごく成長してくれてうれしいです」

 生駒の北野定雄監督のもとへ向かった中村監督は「ぜひ、ベストメンバーで秋に試合をしましょう」と提案した。

 天理とはこういうチームだ。だから冒頭の3年生内野手たちも自然とチームに尽くす。中村監督が厳しく突き放すときもあるが、8人いるコーチやスタッフらがフォローする関係性ができている。「ミスをしたら終わりでなく『もっと練習しよう』と思える日常にしてあげたい」と中村監督。

 5年ぶりの夏の甲子園。戸井主将は「春に初戦で負けてから、つなぐ思いがすごく強いチームに変わった。いい甲子園にして終わりたい」と力強く言った。(篠原大輔)