「原爆の体験者のようにオモニも」 晩年語った虐殺の記憶、映画に
戸田和敬
国家の分断や歴史に向き合う在日コリアンの家族を描いた映画「スープとイデオロギー」が、8月4日まで広島市西区横川町3丁目の横川シネマで公開されている。母が語り始めた住民虐殺の記憶と向き合ったヤン ヨンヒ監督(57)は「1人の人生を通して、国家の歴史や社会を考えてほしい」と語る。
「怖かったでえ。射撃の音がバアン、バアンと。済州島(チェジュド)のものたちは強制的に引っ張られ、機関銃で……」
ヤン監督の母・康静姫(カンジョンヒ)さんが病床で語り始める。現在の韓国・済州島で1948年に起きた軍や警察による住民虐殺「4・3事件」の記憶だった。当時、米国とソ連が朝鮮半島を分割して占領しており、南側だけの単独選挙に反対する島民が蜂起し、数万人が虐殺された。映画では、晩年少しずつ体験を語り始めた康さんの姿を伝える。
「絶対誰にも言うたらあかん」
康さんは当時18歳。島で山…
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