ミャンマーで民主派に死刑執行、軍に焦り? 日本は向き合っているか

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聞き手・牧野愛博
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 ミャンマーの国営紙は25日、昨年2月のクーデターで国軍に拘束されたアウンサンスーチー氏の側近とされるピョーゼヤートー氏ら、4人の死刑が執行されたと伝えました。ミャンマーで今、何が起きているのでしょうか。29年間にわたりミャンマーの取材を続けているフォトジャーナリストの宇田有三さん(59)は「ミャンマー軍の焦りを感じる」と指摘します。

ミャンマー軍に不利な動き相次ぐ

 ――最近のミャンマーを巡る動きをどうみていますか。

 国際的にみると、軍にとって不利な動きが相次いでいます。国際司法裁判所(ICJ)は22日、(少数派イスラム教徒の)ロヒンギャ迫害を巡る審理を不当としたミャンマーの異議申し立てを退けました。

 中国はミャンマー軍支持の立場を変えてはいませんが、最近は少し距離を置きたがっているようです。中国の王毅(ワンイー)外相は7月上旬、クーデター後としては初めてミャンマーを訪れ、中部パガンで軍側が任命したミャンマー外相と会談しましたが、軍トップのミンアウンフライン最高司令官とは会いませんでした。

 王氏の今回のミャンマー訪問は、あくまでメコン地域の外相会議への出席のためで、クーデター後の軍政を正式に認めるものでないようです。中国は自国の国際的なイメージの低下を嫌っており、ミャンマー国民の反中国感情が高まる事態を避けたい思惑もあるとされています。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係も良くありません。ASEANのミャンマー問題特使を務めるカンボジアのプラク・ソコン副首相兼外相が6月末に、ネピドーでミンアウンフライン氏と会談しましたが、スーチー氏との面会は実現しませんでした。

 ASEAN諸国のうち、インドネシアフィリピンなどはミャンマー軍に対する厳しい姿勢を崩していません。ASEANの仲介による事態の進展は望めない状況です。

 ミンアウンフライン氏が7月、ロシアを訪れたのも、軍に対する国際的な包囲網が狭まっていることへの焦りがあると思います。ミャンマーでは最近、停電が頻発するなどエネルギー問題が深刻化しています。原子力開発も含めて、ロシアに支援を求めたのでしょう。25日付の国営紙には、最大都市ヤンゴンと士官学校のある中部ピンルーウィンにロシア語教育施設をつくり、ロシア語学習を強化するという記事も掲載されていました。

 ――昨年2月のクーデータ―から1年5カ月余りが過ぎましたが、現地の様子はどうなっているのでしょうか。

 私は4月末から6月初めまで、ミャンマーに近いタイの国境地帯を訪れ、ミャンマーの状況について関係者に取材をしました。

若者は「軍を倒すまで抵抗する」

 ヤンゴンやマンダレーなどミ…

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