ピッチ内外で響いた水沼宏太の声 W杯へ、こんな選手がいたっていい

勝見壮史
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 サッカー日本代表が4大会ぶり2度目の優勝を飾った東アジアE―1選手権で、MF水沼宏太は何かと注目を集めた。解説者の父・貴史さん(62)も元日本代表の親子鷹(だか)だ。

 初戦の香港戦、32歳で念願の代表デビュー。1993年のJリーグ開幕以降、親子とも代表戦に出場したのは初めてだ。ただ、そんな話題性よりも私が気になったのは宏太の「声」だった。

 簡単に相手の突破を許した仲間に「緩いよ!」。出番がなかった第2戦の中国戦。ファウルをしてしまった味方には、ピッチ脇から「切り替え!」。上層階の記者席にも届いた。

 宏太は言う。「声で解決できるところはたくさん試合中にある。声をかけずに失点を食らったり、チャンスを逃したりは絶対にしたくない」。周りと連係することでいいプレーをしたい、導きたい。少年時代に教わるような基本だ。

 貴史さんの代表初ゴールは1984年の韓国戦。宏太は27日にあった最終戦の韓国戦の前半34分、CKのこぼれ球をシュートしたが、GKに阻まれた。後半14分に交代。父に並べなかったが、堂々と右サイドを駆け抜けた。

 W杯で日本が16強に進んだとき、チームを支える控えのベテランがいた。宏太は「国を背負って戦うことはこんなに幸せなことなんだ、と。W杯に絶対に出たい気持ちになった」。本大会の登録は26人。こんな選手がいたっていい。(勝見壮史)