米軍の原爆投下から77年となる今年8月6日、1人の少年が広島で被爆バイオリンを弾く。ウクライナとロシア。今年2月から戦争状態になっている二つの国に、ルーツがある。
広島市出身の平石英心リチャードさん(15)。バイオリンを手にし、弓を動かし始めると、あどけなかった顔がぐっと引き締まる。
母エレナさん(43)はウクライナ中部のドニプロ出身だ。エレナさんの母親はロシアで生まれた。
英心さんは5歳でバイオリンを始めた。小学校のころからドイツに留学し、腕を磨いた。現在はエレナさんとドイツ・ハノーバーで暮らす。
昨年夏、母らと一緒にウクライナを訪れた。親類の結婚式に出席し、ウクライナを代表する光景であるヒマワリ畑の中を歩いた。「楽しくて、平和で、きれいな国だった」と英心さん。
連載 希望の音色~被爆バイオリンは今日も鳴る
77年前、広島で原子爆弾の閃光を浴びたバイオリンがあります。「被爆バイオリン」として世界各地で演奏されてきました。いま、ロシアがウクライナに侵攻し、核兵器の脅威が世界を揺るがしています。数奇な運命をたどったバイオリンの音色は、私たちに何を訴えるのでしょうか。
ウクライナの親類から次々連絡「原発が」
今年2月、英心さんと日本に一時帰国していたエレナさんのスマートフォンに、ウクライナにいる親類からの連絡が次々と入った。隣国ロシアがウクライナに攻め込んできた。
3月1日、エレナさんのいと…
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