「どうしても200万円を」聞き取れない小さな声 ピンときた銀行員

鈴木優香
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 銀行の窓口でニセ電話による架空請求詐欺の被害を防いだとして、福岡県警筑紫野署は、福岡銀行太宰府支店の竹内秀樹課長(51)に感謝状を贈った。以前も窓口で対応した高齢女性(85)の異変に気付いたという。

 署によると、7月29日、緊張した様子の女性が窓口を訪れた。聞き取れないほどの小さな声だった。「どうしても200万円現金で持ってかえりたい」

 普段とは違う女性の様子に、竹内さんは女性から詳しく話を聞くことに。県警から配布された詐欺防止用のアンケートの記入を促し、使用目的を聞き出すが、はっきりとしない。だが、女性が口にした製薬会社名や「コロナ」という言葉に、行内で詐欺事例の勉強会をしている竹内さんは「普通の出金ではないな」と勘が働いた。

 今月8日に感謝状を受け取った竹内さんは「普段の取り組みが報われた」と喜んだ。

 県内では2022年上半期に144件のニセ電話詐欺被害が発生。前年の同時期に比べ30件、額では2億円以上増えているという。矢野崇副署長は「地域住民や関係機関の積極的な協力で、この種の犯罪を抑止していきたい」と話した。(鈴木優香)

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