移住まではしないが、単なる観光客でもない――。その土地を繰り返し訪れるなどしてつながりを持ち続ける人たちは「関係人口」と呼ばれ、過疎化が進む地域や顧客減が続く企業が注目しています。関係人口を増やそうとする民間サービスも広がってきました。
客室から太平洋をのぞむ旅館「浜の雅亭 一井」(三重県鳥羽市)。5月下旬の夕方、名古屋市に住む愛知淑徳大学4年の宮里遥さん(22)が忙しく働いていた。おしぼりを机に置いたり、宿泊客に出す料理の説明を確認したり。
宮里さんは、6日間限定のスタッフだ。
宮里さんと旅館を結びつけたのが、ベンチャー企業「おてつたび」(東京都渋谷区)の人材マッチングサービス。おてつたびは、「お手伝い」と「旅」を組み合わせた造語だ。人手不足で困っている地方の旅館・ホテルや農家に、大学生や社会人を送る。期間は1~2週間ほどが多い。報酬は旅館などから出るが毎日働かなくてもよく、地域を観光する自由時間ももうける。基本的には「職場」である旅館や農家に無料で泊まることができる。
大学で観光を専攻する宮里さんは、宿泊業の仕事に興味があり参加した。滞在中は朝7時前から3時間ほど朝食の配膳をし、お昼休憩を挟んで午後4時からは夕食の支度。半日休みの日もあり、鳥羽水族館などにも足を運んだ。
「観光先で地元の方が声をか…
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら