厄介者ウニ、減らして食べて 「磯焼け」対策で県などが取り組み

ライター・田中泰子、石川和彦
【動画】鳥取県岩美町の海岸で海藻を食べるムラサキウニを駆除=田中泰子撮影
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 【鳥取】サザエやアワビが生息したり、トビウオが卵を産んだりする藻場が失われる「磯焼け」。その一因とみられるのが、海藻を食べるムラサキウニの増加だ。過剰に増えたことで身入りが悪くなり、商品価値が低い「厄介者」を適正な数まで駆除するとともに、有効利用も目指す取り組みが県内で始まっている。(ライター・田中泰子、石川和彦)

 駆除は、ムラサキウニが増えすぎ、藻場が減少するなどしている県内14地区で6月20日から順次始まった。地元の漁師やボランティアダイバーが潜り、その場で殻ごとつぶす。

 県漁業調整課によると、範囲を決めて繰り返し駆除すると、ムラサキウニの数がゼロに近づくという試験結果がある。この「集中駆除」を採用し、各地区に100~800平方メートルの駆除区域を設定。今後2年間、1カ月程度の間隔を空けて年に5回駆除することにしている。

 14地区の一つ、網代地区では7月1日、1回目の駆除があった。場所は大谷海岸の人工リーフ。ブロックが沈められ、水深3メートルほど。地元の漁師約20人が潜り、見つけたウニをバールで殻ごとつぶしていった。一部のブロックの隙間にはびっしりと詰まっていて、この日は計約2500個を駆除したという。

 参加者の一人、浜田優樹さん(61)は「3、4年前から増えてきたように思う。この場所は多く、253個駆除した。何かしないとね」と話した。

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 一方、ムラサキウニを使った新しい料理を開発することで、有効利用しようという動きも始まった。飲食店や学校給食のメニューに加えることを目標にしている。

 鳥取市内の和洋食店7店の料理人や食品加工の専門家が参加し、メニュー開発の検討会を設置。5月下旬に市内で第1回会合があり、長期保存を考えて急速凍結したムラサキウニを解凍して試食。子どもたちでも食べやすい調理方法などを話し合った。

 第2回会合は6月28日に市内であり、手まりずしやコロッケ、冷製パスタなど各店の料理人が試作したムラサキウニ料理を持ち寄った。「ウニの味がけっこう強いので薄味にしています」などと説明し、みんなで試食した。

 今後メニューの原型(途中段階の加工品)を作り、製造を専門の業者に委託。この加工品をもとに、各飲食店がムラサキウニ料理を提供するフェアを10月ごろに開く予定。

 県漁業調整課によると、検討会に協力している料理人は「ウニの風味がこれだけしっかりしていれば何にでも加工できる」と評価しているという。

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 ムラサキウニの駆除は県、有効利用は県と県漁協、農林中金を中心とした実行委員会の事業で、連携しながら進めている。

 有効利用は二酸化炭素の吸収源である藻場の再生、磯焼けの周知などが目的。「鳥取ブルーカーボンプロジェクト」として、日本財団の助成事業「海と日本プロジェクト」に応募し、採択された。今年度からの3カ年事業で初年度の助成金は約1500万円。県立青谷高校と湯梨浜町立泊小学校でムラサキウニに関する環境学習も始めている。