進路選択、ゲストが刺激剤 都留文科大、週替わりで企業トップら講義

池田拓哉
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 教員養成の実績で知られる都留文科大(山梨県都留市)で、有名企業トップらが続々と講義をしている。少子化の影響などで教員就職率が先細りする一方、民間企業や公務員への志向は高まるばかり。学生の視野を広げようと2年前に始まった前期の科目で、週替わりのゲストが学生に刺激を与えている。

 「自分を超える人でないと採用しません。これは大前提です」

 6月中旬。共通科目「キャリア形成」の授業で、都留文大の卒業生、山崎麻紀さん(44)がゲスト講師を務めた。カジュアル衣料を世界に展開する国内企業に就職し、現在は人事部長として採用を担当する。

 「若いうちから様々なことに挑戦させてもらえる環境に身を置きたかった。年功序列より実力重視の企業を選びました」。店長やエリアマネジャーを経験し、海外拠点の設立にも関わってきたという。

 企業内の昇進については「難しい案件でもこの人となら一緒にやりたい、と思われる人になることが大事。向上心の強さとは必ずしも比例しない」などと持論を語った。

 約80人が聴講。学生たちは「新しく出会った人と信頼関係を築く上で苦労することは何ですか」などと積極的に質問した。山崎さんは一つひとつに丁寧に回答し、最後に「都留の4年間は自分がやりたいことに集中できた。自信を持って頑張ってください」とエールを送った。

 現在の「キャリア形成」の講義は2020年度に始まった。終身雇用や労働環境の変化が進む中で人生を切り開き、社会で活躍するために必要な心構えの醸成を目的としている。

 講義のコーディネートは教養学部の佐脇英志教授(企業経営論)が担当している。これまでに学研やシャトレーゼなど有名企業のトップや元外交官など約30人が講義した。

 学生は、講義で学んだことや心を動かされた言葉を書き留めて提出する。佐脇教授は「講義を聴いて、実際に自らをどう変えていくのかが重要」と話す。

 都留文大の教員就職率は約30年前は約4割だったが、最近10年間は2割台で推移している。就職先を選ぶ視野は民間や公務員へと広がってきた。

 佐脇教授は長年、東南アジアなどでビジネスに携わってきた経験から「もっと海外にも目を向けて欲しい」と話す。「キャリア形成」の講義では、海外の卒業生が現地から参加する機会も作った。

 「学生は一日も早く海外に出て、様々な国の人々と議論してほしい。そこで語学力の未熟さと視野の狭さを感じ、絶望感を味わうところから成長できます」

学生アスリートに面談義務づけ 山梨学院大

 山梨学院大(甲府市)はスポーツ科学部の2、3年生全員に対してキャリア面談を年1回義務づけた。3年生は2020年、2年生は21年に始まった。

 学内にある「就職・キャリアセンター」の職員、段鈺さん(42)は「学部生のアスリートは目の前の試合に集中し、将来の就職について真剣に考える機会が少ない傾向にある」と話す。

 スポーツ産業を希望する学生も多い。関連企業の知識を早くから深め、自己分析によって適職を見つけるサポートをしている。

 段さんは中国出身。留学をきっかけに来日した。「学生には外国を就職先に選ぶ積極性も求めたい」と話している。(池田拓哉)