甲子園わかせた「笑顔」の女子野球 「汗と涙と根性」の男子も参考に

編集委員・稲崎航一
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 スタンドの控え選手も金網越しに円陣に加わって手をたたき、時に歌を歌って盛り上がる。女子野球では、まず試合前の光景に目を奪われる。

 指名打者があり、ベンチ入りが25人で7イニング制。そんなルールの差よりも男子との違いは、明るさだ。

 やや古くさいかもしれないが、男子の高校野球のイメージが「汗と涙と根性」なら、女子は何よりもまず「笑顔」だ。

 「元気のよさ。楽しんでプレーするのが女子野球の魅力」。横浜隼人の田村知佳監督(42)は言う。甲子園という注目される舞台で、両チームともその魅力を存分に披露した。

 「小中学校で野球をやっていても、高校でやめる女子が多い。甲子園で試合をすることで、そんな子たちに楽しさを伝えられたら」。高校時代、男子部員にまじってプレーしていた田村監督は意義を説く。開志学園の柏倉悠起奈監督(25)は「女子のレベルの高さも分かってもらえたと思う」と話した。

 三十数年前、わたしも高校球児だった。練習時間は短く、地方大会の3回戦ぐらいで負ける学校だったが、楽しむことも笑うこともなかった。試合でヒットを打てればうれしいが、打てなければ余計つまらない。結果だけにとらわれていた。

 女子野球のイニング間。投球練習の際の応援パフォーマンスの楽しそうなこと。開志学園のベンチの選手たちは全員がファウルライン近くまで出て、捕手の「締まっていこう」のかけ声に合わせて大きくジャンプする。試合に出られなくても、あれはやってみたい。お祭り気分になれる。

 今夏の第104回全国高校野球選手権の地方大会に参加したチーム数は、18大会連続の減少となった。絶対数が違うので単純比較はできないが、女子は過去最多の49チームが参加した。

 男子の「野球離れ」の理由は様々だろう。ただ、昔ながらの高圧的な指導や上下関係、規律の厳しさなどが敬遠されているとしたら、女子野球の明るさは、参考になるのではないか。(編集委員・稲崎航一)