ペロシ氏訪台、中国はどう動く 専門家が予想する「前代未聞」の反応

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ワシントン=下司佳代子
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 米国のペロシ下院議長が2日夜に台湾を訪問し、中国が強く反発しています。米中関係にどこまで深刻な影響があるのか。米シンクタンク「ジャーマン・マーシャル・ファンド」アジアプログラム部長のボニー・グレイザー氏に聞きました。

Bonnie Glaser

専門は中国の外交・安全保障政策。戦略国際問題研究所(CSIS)アジア担当上級顧問などを歴任。米政府の政策立案に携わった経験もある。

緊張と不信に満ちた米中関係

 ――ペロシ氏の訪台に中国が反発しています。事態をどこまで深刻にとらえるべきでしょうか。

 今回の対立の背景には、緊張と不信に満ちた米中関係の現状があります。

 台湾問題は過去にも、米中間の大きな摩擦の原因となっていました。中国側はいま、米国の「一つの中国」政策に対する姿勢をあまり信用できないと考えるようになっています。米国は中国に対抗し、中国の台頭を抑え、中国共産党の正統性を弱めるために台湾というカードを使っている、と中国は考えています。

 バイデン政権やトランプ前政権は台湾の独立を支持する方向に動いていると、中国から見られています。中国側は、自分たちのレッドラインが米国に真剣に受け止められていないと考えているのですから、これは危険だと思います。

 自分たちが決意を示さなければ、米国はいまの行動を続けるだけで、非常に危険なところまで行くかもしれない。だから、レッドラインを太く引いて、非常に危険な状態になる前に止めよう、米国を説得しようとしているのだと思います。

 ――中国がそう考えるに至ったきっかけは、何だったのでしょうか。

 米国の公式な声明を見れば、米国は引き続き「一つの中国」政策をとっていますし、台湾独立を支持していないことも明確に示されています。米国のどの高官に聞いても、「米国の政策は変わっていない」と答えるでしょう。

 中国の懸念を招くことにつながった事情は一つではなく、多くのことが組み合わさっています。米国が取ってきた行動の多くは、何年も前から変わりませんが、行動を公にし始めたのはここ数年のことです。

 例えば、インド太平洋軍の情報司令官が台湾に行ったという情報のリークがありました。米海軍の艦船が台湾海峡を通過する際、以前は比較的静かに行われていましたが、今は毎回、すべて公に発表されています。以前は隠されていた高官の台湾訪問も、今では公表されています。米国の政策には従来とは異なるさまざまな要素があり、バイデン大統領の一つの言葉が中国の反応の引き金になったとか、そう単純には言えません。

中国側の考えうる反応は?

 ――中国は今回、具体的にどのような反応をすると予想しますか。

 中国軍が、ペロシ氏が乗った…

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