「ネタはもう尽きています」 日本一あやしい「ムー」の愛される極意

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石平道典
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 UFO(未確認飛行物体)、超常現象、謎の文明――。あやしい話が満載な月刊誌「ムー」が6月、創刊500号を迎えた。出版不況の中、長く愛され続ける理由を三上丈晴(たけはる)編集長(53)に尋ねると、「ネタはとっくに尽きています」。どういうことですか?

学研が創刊したあやしい雑誌

 その編集方針は表紙に書いてある。

 「世界の謎と不思議に挑戦する スーパーミステリー・マガジン」

 その言葉通り、扱っているのは真偽不明なあやしい話ばかり。朝日新聞だったらまず載せられない。日本で唯一無二ゆえに「オカルト雑誌」とも言われるが、三上さんは言う。

 「『あやしい』は褒め言葉です。わからないから、あやしい。ちょっと不気味で怖い。でも、だからこそ、人をひきつける魅力がある。知りたいと思う。好奇心の源泉ですよね。雑誌を紹介するときは『日本一あやしい雑誌』と称しています」

 濃いサングラス姿の三上さんもこれまた、あやしい。

 「ムー」は1979年10月、図鑑や辞典などで知られる学習研究社(現・学研ホールディングス)が中高生向け雑誌として創刊した。雑誌名は太平洋上に存在したとされるムー大陸から。だが全く売れず、1年後にマニア向け雑誌に路線を変えた。

 「対象とするのは、現代科学では解明できない超常現象や怪奇現象、超能力や魔術など。マニアは高度な情報を求めています。だから、謎解きをして、納得させなければいけない。例えば、UFOなら、未発見の反重力を想定すれば不可解な飛行を説明できる。そんな仮説を立てて大胆に推理するのがムーの醍醐(だいご)味。あくまでも知的エンターテインメント雑誌なんです」

 世界には摩訶不思議(まかふしぎ)な事象が多くある。UFOはもちろん、ヒマラヤの雪男や日本のツチノコといった未確認動物(UMA)もそんな典型だ。正体は一体何なのか。

 「ムーが扱う世界は現実と虚構の狭間(はざま)にある。マージナル(周辺的)な領域にこそ、実は真実が隠されているのではないでしょうか」

「またこのネタ?」 読者に応える秘訣

 三上さんが小学生だった70年代は、空前のオカルトブームが起きた時代だ。99年7月に世界は滅亡するという「ノストラダムスの大予言」がベストセラーとなり、スプーン曲げの「超能力者」ユリ・ゲラーさんが来日し、世の中を驚かせた。テレビをつければ、そこかしこでUFO特番。「あやしいことにハマりました」。中学1年からムーの購読を続ける。

 謎好きが高じて、大学では宇宙の謎を知りたいと素粒子理論物理学を専攻。その傍ら、ムーの読者コーナーに投稿を続ける常連でもあった。学研に入社して半年後、念願のムー編集部に異動し、2005年、自ら愛読してきた雑誌の5代目編集長に就くのだが……。

 「毎号、ネタ集めが一番苦労します。ネタはとっくに尽きています。むしろ創刊当時から尽きていて、もうない」

やっぱりあやしい「ムー」の世界。でも、43年間、愛され続けるのには理由があるはず。三上さんは変幻自在に、しかし真面目に、その謎を解き明かしていきます。信じるか、信じないかは……

 そう言い、苦笑する。たしか…

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