第21回防衛費増額の意味を問う(下) 「防衛費2倍で防衛力2倍は幻想」

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聞き手・牧野愛博
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 増額が焦点になっている防衛費概算要求が間もなく行われます。防衛力整備は、単純に予算を増やしただけでは解決できない問題もあります。防衛省海上幕僚監部防衛部長として予算要求にも携わった渡辺剛次郎元海将は「防衛費を2倍にしたら、防衛力も2倍になるというのは幻想です」と語ります。

 ――自衛隊は統合運用の時代です。装備品も陸海空が個別に調達せず、統合して効率的な調達を目指すべきではないですか。

 確かに、個別に調達すると非効率な面が出る可能性はあります。中期防衛力整備計画も、装備の調達や運用方針について定めた本文は、陸海空を含めて協議した上で決められますが、必要な防衛装備品の一覧を示した別表は、実態として陸海空が個別に積み上げています。

 各自衛隊は、統合での運用方針に基づく任務の達成に寄与できるように、別表に示す防衛装備品の整備計画を検討しますが、ともすれば、より自分たちに有利な調達が可能になる陸海空予算の「シェア割り」に頭が行ってしまうこともあるようです。

 ただ、この問題を解決するためには、現在の予算編成のシステムを変える必要もあります。陸海空の自衛隊が個別に防衛装備品の積み上げを見積もっているのは事実ですが、財務省も陸海空別に予算要求内容を査定する主査を置いているのです。もちろん、財務省主計局全体でバランスは考えていると思いますが、基本的には、政府レベルで予算編成の方向性や重点などについての方針を決めない限り、現状のやり方は変わらないでしょう。

予算を増やすだけでは人は増えない

 ――現場の自衛隊からは「人も足りない」という声をよく聞きます。

 今年3月現在、自衛官の定員…

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