有事になれば「戦場」は台湾と日本 米中へ緊張高めない働きかけを

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編集委員・佐藤武嗣
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 岸田政権が習近平(シーチンピン)国家主席との日中首脳会談の実現に向けた「布石」(外務省幹部)と位置づけ、4日に予定していた日中外相会談が急きょ中止された。ペロシ米下院議長の台湾訪問による、米中の緊張のあおりを受けた格好で、中国軍の演習で発射された弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)にも着弾した。

 岸田文雄首相はこれまで「主張すべきは主張し、具体的な会談についても考えていきたい」と首脳会談に前向きだったが、その実現には曲折も予想される。

 中国は4日からペロシ議長訪台の対抗措置として、台湾を囲む6カ所の海域を設定し、実弾射撃訓練を開始。これらの海域は、1995~96年の「第3次台湾海峡危機」の際に中国が実弾射撃で威嚇した海域よりも台湾に近く、軍事的威嚇のレベルを上げてきた。

 中国が実弾射撃訓練に踏み切っても、それが直ちに台湾有事に発展し、日本政府が重要影響事態などと認定して自衛隊が展開する事態は考えにくい。中国も演習のタイミングをペロシ氏が台湾を離れた後に設定するなど、米中両軍に一定の「自制」の動きも見られる。

 ただ、訓練海域だけでなく…

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