中国の弾道ミサイル5発、日本のEEZ内に落下 外相会談急きょ中止

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松山尚幹、プノンペン=野平悠一、北京=冨名腰隆 北京=高田正幸、台北=石田耕一郎
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 日本政府は4日、台湾周辺で軍事演習を実施していた中国軍の弾道ミサイル5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したと発表した。軍事演習はペロシ米下院議長が台湾を訪問したことへの対抗措置。カンボジアでは同日、日中外相会談が行われる予定だったが、中国側の申し入れで、急きょ中止になった。

 中国はペロシ氏が2日に台湾入りしたことを受け、台湾周辺の空海域で実弾による演習を4~7日に行うと発表していた。

 岸信夫防衛相は4日夜、記者団の取材に応じ、中国軍が同日午後3~4時ごろ、弾道ミサイル9発を発射し、そのうち5発が沖縄・波照間島南西のEEZ内に落下したとみられると発表した。EEZ外だが、日本の領土に最も近い落下地点は、沖縄・与那国島の北北西80キロだったという。

 岸氏は「我が国の安全保障および国民の安全に関わる重大な問題だ。強く非難する」と述べた。

 中国の弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下したのは初めてという。ただ、他国のEEZ内での軍事演習は国際法上は違反とは言い切れない。

 防衛省によると、発射された9発のうち、4発は台湾本島上空を通過したと推定されるという。

 外務省の森健良事務次官は中国の孔鉉佑(コンシュワンユー)・駐日中国大使に電話で抗議し、軍事演習の即刻中止を求めた。

 一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の外相会議に出席するためカンボジアを訪問中の林芳正外相は4日、中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相と約1時間会談する予定だった。9月の日中国交正常化50周年に向け、関係改善の糸口を探る狙いがあり、日中首脳会談への道筋をつけられるかが焦点となっていた。

 日本外務省幹部によると、同日に中国側から会談中止の申し入れがあったという。

 中国の華春瑩外務次官補は4日の定例会見で、理由について「日本はG7や欧州とともに中国を不当に非難する共同声明を発表した。中国の主権に対する米国の侵犯行為を、白黒をあべこべにして見ている」と説明。「中国人民は極めて不満を抱いている。台湾問題について日本は歴史的な罪を負っており、とやかく言う資格は何もない」と強く非難した。

 林氏はブリンケン米国務長官と立ち話をし、中国の弾道ミサイル発射を強く非難することで一致し、地域の平和と安定のために緊密に連携することを確認した。林氏が記者団に明らかにした。

 ペロシ氏は5日に岸田文雄首相や細田博之衆院議長と会談する予定だ。(松山尚幹、プノンペン=野平悠一、北京=冨名腰隆

台湾周辺の海域では弾道ミサイル11発

 中国軍は4日から、台湾周辺…

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    福田充
    (日本大学危機管理学部教授)
    2022年8月5日0時37分 投稿
    【視点】

    ペロシ米下院議長の台湾訪問も確かに中国には反対を表明する権利はある政治的行動ですが、だからといって9発のミサイル発射で台湾と日本を脅迫する行為は軍事的行為であり、異常であることを指摘すべきです。中国のこの異常さを引き出した原因を作ったアメリ

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2022年8月4日22時43分 投稿
    【視点】

    この展開から得るべき教訓は何でしょうか。  だから台湾有事の日本波及に備えてさらなる日米同盟の抑止力強化を、そしてやはり日本は防衛力の抜本的強化を、という主張はすり替えだと思います。  日本EEZへのミサイル発射と言えば北朝鮮が繰り返し