増える外国ルーツの子に オンラインで日本語指導 大阪府教委が支援

加藤あず佐
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 外国にルーツがあり、日本語指導が必要な子どもが増える中、そうした子が数人しか在籍していない学校がたくさんあり、支援が追いつかないことが、全国で課題になっている。大阪府教育委員会は今年度から、オンラインで日本語を教える取り組みを始めた。これまで十分な指導が受けられなかった子どもの学びを支え、地域間の差をなくそうとしている。

 6月下旬、大阪府和泉市の市立小学校の一室で、中国にルーツのある5年生の男子児童(10)が、パソコンの画面越しに日本語指導員へ話しかけていた。

 「私の街、和泉市は、大阪のミナミブ……。南部にあります」

 この日は、方角の表現を学び、地元を紹介する授業。画面には、同時に授業を受ける2人の児童も映り、声をかけ合いながら授業が進んだ。うち1人の女児も中国にルーツがある。「你好(こんにちは)」「再見(さようなら)」。男児は中国語であいさつを交わし、にこっと笑った。

 文部科学省によると、日本語指導が必要な児童生徒は全国に約5万8千人(2021年度)いて、10年弱で約1・75倍に増えた。府教委などによると、府内約730の小中学校に約3200人が在籍している。

 こうした子どもが一定数以上いる学校には、国が日本語指導をする教員を加配するほか、独自に支援員が巡回指導などを行う自治体もある。だが、在籍が1、2人ほどの学校も多く、学校間で指導に差が出ていることが課題だった。

 そこで府教委は今年度から、オンラインで学校をつないで子どもに日本語を教える事業を始めた。対象は小学4年~中学3年(大阪市、堺市を除く)で、毎週2時間ずつ。学年や日本語のレベルに応じて4~5人のグループに分かれ、1人1台配布されたタブレット端末を使って参加する。

 和泉市で授業を受けた男子児童も、5月から参加している。家では中国語を使うことも多いといい、「『~は』と『~が』の使い分けが難しい。でも、先生が直してくれる」と話す。授業のグループで同じ国にルーツがある友達に出会えたこともうれしいという。

 男子児童が通う小学校には、日本語指導が必要な児童が4人いる。常駐の支援員はいない。国が加配した他校の日本語指導教員や市の指導員が巡回で来ているが、より手厚い指導が必要な児童もいることから、校長ら教員が空き時間を使って個別指導をしていた。

 今年度からオンライン指導が始まり、教員の負担は軽くなった。また、オンライン指導を楽しみにしている児童も多いという。校長は「外国にルーツのある同級生と仲間意識を共有でき、学ぶ意欲にもつながっていると思う」と話す。

 府教委によると、事業の対象となる大阪市と堺市以外の地域には、十分な日本語指導が受けられていないとみられる児童生徒は130人ほどいるが、オンライン指導を受けているのは約40人にとどまっている。学校ごとに時間割が異なり、オンライン指導の時間と合わせにくいなどの課題があるという。担当者は「多くの子どもたちが参加できるよう、学校のニーズを聞きながら支援していきたい」と話した。(加藤あず佐)

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    田中宝紀
    (NPO法人青少年自立援助センター)
    2022年8月5日14時20分 投稿
    【視点】

    留学生や技能実習生等を除いた海外ルーツの子どもや生活者を対象とした日本語教育機会は、自治体間の格差が積年の課題となっています。一般的に外国人住民が多い自治体でも、その多寡には濃淡があるため、外国人集住地域内でも支援が十分に行き届いていない地