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コロナ再拡大で保健所逼迫

新型コロナウイルス

床並浩一
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 新型コロナの急激な感染再拡大で、静岡県内各地の保健所業務も逼迫(ひっぱく)している。日々膨らむ感染者の対応に追われるなか、感染症法が求める「全数把握」が大きな負担要因だ。重症化リスクがある高齢患者らの命を救うためにも、負担の軽減が急務になっている。

 狭い通路にうずたかく積み上げられた即席麺の山。ひっきりなしに鳴り響く電話の呼び出し音。電話対応に追われる職員たち……。

 静岡市保健所に足を一歩踏み入れると、ただならぬ緊迫感が伝わってきた。

 県内では、1日あたりの新規感染者数が過去最多の7千人を超え、発熱外来には受診希望者らが殺到。病床占有率は8割を超え、自宅療養者は3万人台で高止まりしている。院内クラスターの発生や家族内感染した医療従事者の欠勤で入院の停止が相次ぐなど、「助かる命すら助からない」と現場は危機感を募らせる。

 静岡市内でも1日の新規感染者数が2千人に迫るなど予断を許さない。保健所は職員約10人の担当課で患者の入退院や転院をめぐる医療機関の調整や個別の健康観察に対応しきれないとみて、他部署の応援職員で約70人に増強した。医療機関から届く「発生届」も2回線から3回線に増設して対応している。

 だが、杉山智彦保健予防課長は「医師が診療の合間にファクスで送る発生届も、あっという間に回線がふさがる」と話す。

 政府が行動制限を求めず、「全数把握」の旗を降ろさないなか、元厚生労働省医系技官の田中一成所長は「東京で感染に歯止めがかからなければ、静岡市内も増加が続くだろう」と全職員を総動員した持久戦を覚悟する。

 そこで、市は県内全体の3割を占める1万人近くにのぼる自宅療養者のうち無症状や軽症の患者を対象にした健康観察については、専門職の保健師ではなく、応援職員や委託業者に担わせることにした。また、患者への最初の連絡手段として、職員による直接の電話ではなく、携帯電話の「ショートメッセージ機能」を利用するなど簡素化。自宅療養者の不安を解消するため、基本的な疑問に答える小冊子を用意した。どれも、重症化しやすく、命の危険にさらされかねない高齢患者や基礎疾患のある患者の対応に保健師や市独自の「在宅ドクターサポート事業」のかかりつけ医ら限られる人的資源を重点的に集中させるためだ。

 大きな事務負担になっている発生届の処理についても、従来の電話回線を使ったファクスだけではなく、インターネット回線を使う電子化処理に随時切り替える。県もこうした先進的な取り組みに追随している。

 田中所長は効率化による負担軽減に期待を寄せる一方、「医療現場も逼迫している」として、市民向けに、3~4回目のワクチン接種やマスク着用など基本的な感染予防対策を改めて呼びかける。平日夜間や休日の受診を避けたり、「うっかり事故」を招く行動を控えたりするなど、一層の理解と協力を求めていく。(床並浩一)

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