第3回住宅地に違法な穴・穴・穴 危なすぎるトンネル採掘、記憶まで失った

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コルウェジ〈コンゴ民主共和国南東部〉=遠藤雄司
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 赤茶けた地面に幅1メートルほどの穴が開いていた。のぞきこむと、ほぼ垂直に7~8メートルほど落ち込んでいる。中は暗く、目が慣れるまで底が見えなかった。このトンネルの奥底に、コバルト鉱石が眠っている。

 穴を下りようにも、はしごやロープはかかっていない。上り下りするのに使えるのは、両側の壁に空いた半球状のくぼみだけのようだ。

 手か足を滑らせれば良くても重傷、下手をすれば命に関わるのは間違いない深さだ。取材のために入ろうと試みたが、あまりに危険だと判断し、諦めた。

スマートフォンや電気自動車(EV)のバッテリーに使用されるコバルト。「便利さ」や「クリーンさ」が追い求められる中で、その需要は急速に増え続けています。あなたの手の中にあるスマホ1台に約8グラム含まれるとされるその金属は、いったいどこからやってくるのでしょうか。

 コンゴ民主共和国南東部コルウェジにあるカスル地区。住宅地の一画に、そのトンネルはあった。表通りからは見えないよう、裏庭に掘られている違法な「鉱山」だ。

 2014年、カスル地区の住民の一人が、敷地内にトイレを作ろうと地面を掘っていてコバルト鉱石を発見した。その存在は瞬く間に知れわたり、住人たちは一気に地面を掘り始めた。地元の行政関係者は「この地区だけで採掘のためのトンネルは約650カ所に上る」と証言する。

 カスル地区を車で走り抜ければ、ぼろきれで覆われたテントが無数に立っていることに気付くだろう。テントの隙間から見えるのは、ぽっかりと黒い口を開けた採掘トンネルだ。

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