天井まであふれる資料の山 「もう長くない」先生が伝えたいこと

有料会員記事核といのちを考える

福冨旅史
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 天井まで積み上がった資料の山のなかで、「先生」は埋もれそうになって動き回っていた。

 2万点の本やアルバムに番号を書いた付箋(ふせん)を貼る。年代や種類ごとに並べる場所を変えていく。

 広島市佐伯区。「先生」こと、森下弘(ひろむ)さん(91)は2年前から、自宅の資料の整理にいそしんできた。

 高校や大学で長く教壇に立ち、書道を教えてきた。ただ、退職後の今も周囲から「先生」と呼ばれ、慕われるのは、それだけが理由ではない。

 資料からは、森下さんの多彩な足跡がうかがえる。米国、ソ連(現ロシア)、欧州……。ロシアの侵攻で揺れるウクライナへもかつて足を運んだ。

 「先生」は77年前、広島で原爆に遭った被爆者だ。

 ほほえみを絶やさず、資料の整理を続ける「先生」のところに今年、記者の私は通い続けた。

 「私はもう、長くないから」。そういう「先生」がいま語りたい思いを聞き逃したくなかった。

■慰霊祭に同級生現れず…

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