よくワカンナイのに心に染みる井上陽水 なぜなのか読者と考えた

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寺下真理加
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 読者の皆さんへのアンケート結果を交えて、様々なアーティストを紹介する企画「今こそ聴きたい!」。八月は夢花火、私の心は夏模様。やっぱり夏と言えば井上陽水、ですよね? この夏は「吉田拓郎の引退表明」も話題をさらいましたが、読者からは「自分は陽水派かも」「今後も歌い続けてほしい」などのアツい声援が寄せられています。陽水の歌の何が人々をひきつけるのか。ほら、恋のうたが、誘いながら、流れてきましたよ。夢の中へ、行ってみたいと思いませんか?

 1999年8月の朝日新聞にシンガー・ソングライター、井上陽水のインタビューがある。

 《30年間の音楽活動を集大成した初のベスト版CD「ゴールデンベスト」が好調だ。発売後1カ月足らずで80万枚を突破》

 近況に続いて、次のような経歴も紹介されている。

 《福岡県田川市生まれ。歯科医だった父親の後を継ぐため大学を受験するが、3度失敗》

 《1970年代に「傘がない」「夢の中へ」などを発表。LP「氷の世界」は異例の150万枚の売り上げを記録。75年に吉田拓郎氏らとフォーライフレコードを設立。安全地帯奥田民生氏らと組んで、時代の先端を走り続けてきた》

 記事の中で陽水は、当時(90年代末)に流行していた音楽について「ぐっと胸を打つ歌詞とか、やられたなという曲はあまりないですね」といい、「だれが聞いてもよくわかり、ストーリー性があるようなうたを作りたいですね。でも今はそれが一番難しい」とも語っている。

 デビュー50周年の2019年、日本文学研究者のロバート キャンベルさんが刊行した『井上陽水英訳詞集』の中で、陽水はキャンベルさんと対話し、創作のプロセスにも言及している。意味はできるだけ考えようとしている、何を歌っているか全然わからないとよく言われるから、などと語っている。

 拓郎と並ぶ「フォークの星」と称された70年代の陽水。今回の投票では、この時期の曲が上位を占めた。それらに続くのが80年代以降の楽曲だ。ポップスやロックへ音楽性の幅をさらに広げた時期で、安全地帯に歌詞を提供した「ワインレッドの心」、中森明菜が歌った「飾りじゃないのよ 涙は」、陽水自身が歌い、田村正和主演のドラマ「ニューヨーク恋物語」主題歌にもなった「リバーサイド ホテル」などが人気を集めた。

 陽水自身の言葉にもある通り、今回のアンケートでまず目立ったのは、陽水は「歌詞がよくわからない」という声だ。

 静岡県の40歳の男性は、こ…

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