日本企業の管理職に占める女性の割合は13%で、国が目標とする30%にはまだまだ及びません。専門家は「環境を整えないまま登用しても、いい結果にはつながらない」と指摘します。当事者の声に耳を傾けると、プライベートを返上して全力投球を求められることへの戸惑い、孤独に悩む姿が見えてきました。(伊藤舞虹、机美鈴)
「少ないって、それだけでしんどい」大沢真知子・日本女子大学名誉教授(労働経済学)
女性管理職は今、とても孤独だと思います。女性活躍が進んだと言っても、総務省の労働力調査によれば管理職の割合は13.2%。部下を持ったとたん周りは男性ばかりで、会議で発言しても変に注目を浴びてしまったり、妙にしらーっとした空気が流れたり。少ないって、ただそれだけでしんどいんです。環境を整えないまま形だけ女性を登用しても、あまりいい結果にはなりません。
女性を管理職から遠ざける大きな要因の一つに「好意的性差別」があります。例えば「子育て中の女性に責任の重い仕事を最初から割り振らない」こともこれに当たります。一見、女性への配慮のように見え、女性側も差別とは気づきにくいのですが、本人の意思に関係なく「大変そうだから」と経験を積む機会を与えないとしたら、結局は女性をステレオタイプに基づく固定的な性役割に押し込めてしまうことになります。また、チャンスを与えないことで、女性の昇進意欲をそいでしまう危険性もあります。
記事後半では女性たちの声を紹介します。三度目の正直で係長試験に合格した人、心折れて退職した人、管理職の誘いを断った人…それぞれに事情がありました。
企業にとっては人材流出のリ…
- 【視点】
「社内の女性グループリーダーは飲み会や土日のゴルフには参加しないが、 それ以外はきっちりやってい る。(在宅勤務も使って)子どもを学校へ送り出したら仕事して合間に料理して...僕の60分とは違う 60 分を過ごしていて、家事育児と仕事という