老画家の「ロマン菌」に魅せられて 淡路島の秘境、その名はアート山

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西田理人
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まだまだ勝手に関西遺産

 芸術家の夫妻と地域住民らが一体となって作り上げた、世にも珍しい「手作り」の私設美術館が淡路島にあるという。

 そこは地中海を思わせる地上の楽園で、訪れた者は皆、「ロマン菌」なるものに触れて創作の喜びに目覚めてしまうのだとか。

 一体どんな場所なのか。好奇心に駆られ、車のハンドルを握った。

 神戸方面から明石海峡大橋を渡って、島の北玄関にあたる淡路インターチェンジへ。一般道に降りて海沿いを南へ約5分。リゾート施設「淡路夢舞台」の前を過ぎたところで、手書きの看板が目に入った。

 「ArT山美術館 この坂登ル」

 雑木林の中へと続く、狭く急な坂道を上がった先に、「アート山大石可久也美術館」はあった。

淡路島にアントニ・ガウディ?

 アート山は、淡路島出身の画家・大石可久也さん(2018年に94歳で死去)と、妻で同じく画家の鉦子さん(82)が、2004年にオープンさせた施設だ。

 大阪湾を見下ろす急斜面に、夫妻の絵画や立体作品を飾るギャラリーが建ち、遊歩道の整備された屋外には、石とレンガをモザイク状に積み上げた高さ5メートル超の塔がそびえるほか、生き物のごときオブジェがあちこちに顔をのぞかせている。

 たとえて言えば、スペインバルセロナにアントニ・ガウディが築いた世界遺産「グエル公園」といったところか。敷地面積は約2千平方メートルだが、案外こぢんまりとして回りやすく、手のぬくもりと遊び心に満ちた園内の空気を吸っているうちに、自分の中にも素朴な創作欲がわき上がってくるのを感じる。

こんな不思議な空間が、いったいなぜ淡路島の一角に生まれることになったのでしょうか。記事後半では、画家の夫妻とボランティアたちがともに編み上げてきた、アート山の「奇跡」の物語を紹介します。

 「アート山の構想が生まれた…

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