東日本大震災の津波で流された県内最古のジャズ喫茶「クイン」に多くのレコードを贈り、再建を後押しした恩人が6月、初めて岩手県大槌町の店を訪れた。再建を夢見ながら亡くなった元店主の遺志を継いだ長女と対面し、故人の思い出を語り合った。
「学生時代のジャズ喫茶の雰囲気。レコードたちも喜んでいるはず」
新潟市中央区から500キロ近い道のりを車で来た明倫短大元学長の花田晃治さん(84)と妻のマチ子さん(81)は、店内に響くジャズに耳を傾け、うっとりとした表情を浮かべた。
店主の佐々木多恵子さん(53)は「花田さんに来てもらいたくて、この店を今までやってきたようなもの」と感謝した。
クインは佐々木さんの父、賢一さんが1964年に開店。山下洋輔さんら有名なプレーヤーも訪れる名店だったが、2011年の震災で、店と一緒に約2万枚のレコードやプレーヤーが流されたうえ、賢一さんは妻も奪われた。
再開する資金がなく気力も失…
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