神話の里から飛び立て、トキ! 出雲市が佐渡に続く放鳥地に

杉山匡史
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 国の特別天然記念物・トキの飼育と繁殖に取り組む島根県出雲市が5日、環境省の「トキの野生復帰を目指す里地」(A地域)に決まった。これまでの実績や自然環境などから放鳥できる要件を満たしていると評価された。2030年までの放鳥をめざす。飯塚俊之市長は「出雲の空をトキが舞う姿を実現させたい」と喜んだ。

 トキは、鳥インフルエンザ感染などによる絶滅の危険を避けるため、繁殖拠点の佐渡トキ保護センター(新潟県佐渡市)のほか、出雲市など全国4カ所で分散飼育されている。一方で放鳥するのは佐渡に限っていたが、過密になっているとして環境省は昨年6月、複数地域に広げる方針を決めた。

 今回の公募は今年5~6月に実施され、全国から6地域の応募があった。出雲市は6月23日付でA地域に申請し、石川県(県と珠洲市など能登地域9市町)と共に選ばれた。

 放鳥はしないが生息できる環境整備を進める「B地域」には3地域が選ばれ、1地域は継続審議になった。

 出雲市は「トキによるまちづくり構想」を掲げ、11年からトキ分散飼育センター(西新町2丁目)で飼育に取り組んでいる。関西より西では唯一の施設だ。昨年までに出雲から佐渡に48羽が渡り、大半が自然界に放鳥された。今年も7羽が孵化(ふか)し、元気に成長している。

 今回の選定で市には、浅い水辺をはじめとする年間を通した餌場、ねぐらや営巣場所となる森林の整備など、放鳥に適した環境の整備などが求められる。審査した有識者らによる選定委員会からは、近隣自治体との連携や営巣林の管理について指摘を受けた。

 市は、生息環境を整えるうえで重要な農業者の理解を従来以上に幅広く求めていくほか、周辺自治体との連携もさらに強めていく方針だ。

 市朱鷺(とき)のまち推進室の梶谷房生室長は「無事に一つのハードルをクリアできた。選定を機にトキがいる市を市民にさらに積極的にPRして理解を深めていきたい」と意気込みを見せた。(杉山匡史)