「誰か内戦を止めて」 コロンビア初の左翼政権はなぜ誕生したのか
南米コロンビアで7日、左翼ゲリラ出身のグスタボ・ペトロ氏が大統領に就任し、建国史上初めての左派政権が誕生する。ラテンアメリカでは、ペルーやチリなどで左派政権が次々に生まれている。コロンビアで15年以上取材しているフォトジャーナリストの柴田大輔さんはペトロ氏が選ばれた背景について「誰も内戦を止められなかったからです」と語る。
柴田さんは2006年に初めてコロンビアを訪れたのを皮切りに、毎年2~3カ月、現地に滞在して市民の暮らしを取材してきた。1年以上続けて滞在したことも2度ある。最近では今年5~6月にコロンビアに入り、大統領選について取材した。
貧富の格差が生む内戦
柴田さんが取材のなかで目撃したのは、深刻な貧富の格差と、格差が生み出した内戦に翻弄(ほんろう)される市民の姿だった。「コロンビアは南米で最も貧富の格差が激しい国のひとつなのです」
柴田さんがたびたび長期滞在している南西部にある先住民族アワの人々が暮らす山間部。五つの集落、計約400人が一つの村を作っていた。初めて訪ねた13年当時は、車が走る場所まで徒歩で5時間かかっていた。09年までに電気は通じるようになったが、沢の水とマキで煮炊きしている。肉や野菜、衣料品などを買える市が立つ場所までは、やはり徒歩で5時間以上かかった。
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