中国ミサイル、防衛省発表に隠された意図 識者が語る「深刻な事態」

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聞き手・牧野愛博
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 ペロシ米下院議長が台湾を訪れた後、中国軍が台湾を取り囲むようにして軍事演習をし、弾道ミサイルが日本の排他的経済水域(EEZ)内にも落下しました。今回の演習は、日中関係を決定的に変える契機になるのでしょうか。中国情勢に詳しい防衛省防衛研究所の門間理良・地域研究部長に聞きました。

かつてより圧倒的に近代化した中国軍

 ――中国軍の演習をどのように分析していますか。

 1995年から96年にかけての台湾海峡危機の時に比べ、中国軍は圧倒的に近代化が進んでいます。

 当時は今回よりも準備する期間が長かったにもかかわらず、中国軍は米国の2個空母機動部隊の接近を許し、何もできませんでした。中国軍にとって最大の屈辱でした。

 中国軍は以後、2003年のイラク戦争などでの米軍の動きを研究し、ドクトリン(原則的な考え方)を更新し、武器・装備の増強を重ねてきました。今回はその成果を見せる機会だと考えていると思います。

 前回は台湾の北部と南部の海域にミサイルを撃ち込んだだけでしたが、今回はより近海に撃ち込んだほか、航空機や艦船を使い、サイバー攻撃も行うなど、自分たちの軍事力を誇示しています。

 6日には台湾国防部(国防省)が、台湾周辺で多くの中国軍機や艦艇が活動し、一部は台湾海峡の中国と台湾との中間線を越えて、台湾本島攻撃の模擬演習を行ったと判断されると発表しました。

 中国海空軍やロケット軍の動静の詳細は不明ですが、統合作戦訓練の可能性があります。また、中国本土でも今回の演習に連動させた統合作戦訓練を行っていることも考えられます。

なぜ、米空母はフィリピン海沖にいるのか

 ――一方で米軍は、どのような動きを見せているのでしょうか。

 米軍の発表資料や報道などに…

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