一度辞めた野球、夢中になった3年間 日大三島・京井が見据える未来

魚住あかり
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(6日、第104回全国高校野球選手権大会1回戦 国学院栃木10-3日大三島)

 「絶対抑えてやろう」。五回途中で継投した京井聖奈選手(3年)は、マウンドの上で深呼吸し、肩を大きく上下させた。制球が思うように定まらず、2死満塁に。それでも打者を三振に打ち取るとほっとしたように小さくガッツポーズした。「まだ逆転できる」。追う展開となっても、気持ちは途切れなかった。

 中学2年生のとき、ひざの痛みで一度野球を辞めた。3年生になるころには治っていたが、「気持ちが切れてしまった」。もう一度練習に足を運ぶ気持ちはわいてこなかった。

 家にこもっている自分を心配し、友人が誘ってくれたのが草野球だった。近くの公園に集まっては、キャッチボールやノックをして遊んだ。「やっぱり楽しい。もう1回やろうかな」。親戚のすすめで地元・大阪を離れ、静岡で野球を再開することにした。

 練習についていければそれでいい。最初はそんな気持ちでやり始めたが、だんだんと夢中になった。今春の選抜大会後には中学時代と同じひざの痛みに苦しんだが、フォームの修正に取り組む機会だと前向きにとらえた。「野球ができることが楽しい」。試合に出ることができなくても、白球に触れられることが何よりうれしかった。

 この日は最後まであきらめなかった。1番打者として、すべての打席で初球から積極的にバットを振った。投げては、六回に打者10人の猛攻を受け4点を失ったが、七回は無失点に抑える好投を見せた。

 「精神的に前向きになって、一生懸命に取り組むようになった」。試合後、永田裕治監督はそうたたえた。京井選手も「勝利を重ねていくうちに楽しくなった。大学でも野球を続けたい」と先を見据える。一度は辞めた野球を、また好きになった3年間だった。(魚住あかり)