初戦3安打の明豊・嶽下「結果は意識しない」 見据える先は日本一

奥正光
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(6日、全国高校野球選手権大会1回戦 明豊7ー3樹徳)

 大会開幕日の第2試合、舞台は観客1万5千人ほどが入った甲子園。だが、打席に入った時の思いは、大分大会と同じだった。

 嶽下桃之介右翼手(3年)は、一回の打席へ向かう時、「後ろへつなぐイメージで振っていこう」と考えていた。前に打席に入った竹下聖人一塁手(同)がしぶとく中前へ打ち返したのを見て、気づいた。「スライダーがきている」。そのスライダーをたたくと、打球は中堅左で弾んだ。二塁打となり、初回に貴重な2点目をもぎ取った。

 大分大会では4割を超える打率をマークした。三塁打も2本放ったが、満足していない。普段から寡黙な左打者は、甲子園を決めてからも黙々とバットを振り込み、全国の舞台に照準を合わせてきた。

 この日は五回に3点差を追いつかれ、六回に1点勝ち越し。「次の1点が試合を決める。だから自分が何とか出よう」と思った八回の打席もスライダーを狙った。今度は右中間への二塁打となり、「次の1点」のホームを自ら踏んだ。

 熊本市の中学から当時、「九州で一番強い」と思った明豊へ進んだ。21年春の選抜大会で決勝まで進み、頂点に迫った先輩たちを見て、「日本一」を具体的に意識するようになった。

 自身初の甲子園で結果を出した。「いつも通りの自分が出せたら打てることがわかった」。調子は上がってきている。「きょうの3安打を意識せず、次に打てるよう練習するだけ」。視線はもう次へ向いていた。(奥正光)

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