「近江は山田だけじゃない」示す 申告敬遠後、打者横田が逆転三塁打

編集委員・稲崎航一
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7日、全国高校野球選手権大会1回戦 鳴門 2-8 近江

 近江は山田陽翔(はると)だけじゃない。意地を乗せた打球が、右翼手の頭上を越えていった。

 1点を追う五回2死二塁。一回に適時二塁打を放っている4番山田は、当然のように申告敬遠で歩かされた。勝負を挑まれたのは2年の横田悟だ。

 近江の右腕山田と鳴門の左腕冨田遼弥。息詰まる投手戦が続いていた。勝敗を分ける山場がやってきた。

 冨田対策はできていた。右打者は内角に食い込む速球を意識し、少しベースから離れて立った。変化球を見極め、四回まで左腕に76球を投げさせていた。

 この場面、横田もまさにその対策通りの打撃を見せた。右の軸足に体重を残し、低めのスライダーに手を出さない。3ボールと有利なカウントを作った。

 フルカウントからの6球目。冨田が決めに来た胸元の速球を懸命にファウルで逃げた。そして7球目、根負けした冨田の浮いたスライダーを仕留めた。

 「バットを短く持ってコンパクトにいきました」。粘り勝ちの右越え三塁打。ベンチに向かって、笑顔で腕を突き上げた。

 横田は二回に遊撃の守備で、失点につながる失策をしていた。「自分でカバーしないといけない」。強い気持ちで取り返した。

 近江は昨夏の全国4強に続き、今春の選抜でも準優勝した。だが、攻守ともエースで4番で主将の山田に頼りっぱなしだった。山田が疲れ果てた決勝は、大阪桐蔭に1―18と大敗した。

 大阪桐蔭と再戦した春季近畿大会準決勝でも山田が降板した後に失点を重ね、2桁失点で敗れた。

 「山田頼み」を脱することがチームの課題だった。滋賀大会は山田以外の投手も力投。打線は打率1割台の山田を全員でカバーして甲子園に帰って来た。

 「山田さんが歩かされることはよくある。準備はしていた」と横田。選抜では控えだった6番石浦暖大も4安打。山田の後ろを打つ打者が存在感を示した。

 春からの確かな成長を描き、近江が好発進した。(編集委員・稲崎航一)