祖国ロシアで見たエリート層の国家意識 経済制裁がもたらした結集

有料記事ウクライナ情勢

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投稿「私の視点」 モントリオール大学名誉教授 ヤコブ・ラブキンさん 

 ロシアによるウクライナ侵攻からまもなく半年になる。それを前に、私は6月から7月にかけて6週間、故郷のサンクトペテルブルクに滞在した。

 知識人層の多くが侵攻に衝撃を受けたのは間違いない。だが時間がたつにつれ、欧米の経済制裁が、武力行使を認めなかった人々の間にさえ連帯感を生み出していた。

 ロシアの権威ある外交専門誌の記事は手厳しかった。

 いわく、地上部隊に比べて空挺(くうてい)部隊が多すぎるため、有効な作戦がとれない。旧ソ連から引き継いだ海軍は肥大して金がかかり時代遅れ。空軍力は不十分で、無人機通信機器を欠き、情報収集も足らない。ロシア兵の医療キットは「惨め」だ。

 批判の矛先は軍ではない。軍の実情を無視して作戦の目的を定めた政治階層だ。「ロシアは当初から、迅速な勝利に必要な部隊を持っていなかった。今もない」

 この種の率直な分析は、権力中枢の背後に反欧米エリートが集まっていることの裏返しだ。作戦が秘密裏に準備されたのは、グローバル化した経済人や知識人層から抵抗が予想されたからだ。

 ところが、紛争開始を悔やん…

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