PR登山が一転、豪雨で足止め 県庁に戻れなかった馳浩知事「反省」

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山田健悟
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 北陸地方を記録的な豪雨が襲った今月4日、災害対応の陣頭指揮を執る石川県のトップ、馳浩知事は県庁にいなかった。県が企画した登山に前日から参加していたためだ。

 登頂を断念し、下山を決断したが、記録的な大雨という危険な中、出発。だが、山あいで道路が寸断されて孤立状態となった。現場では何が起こっていたのか。同行した記者が見た一部始終を報告する。

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 この企画は、日本三霊山の一つで、石川と岐阜県境の「白山」(標高2702メートル)の国立公園指定60周年を記念し、馳知事自らが白山を登り、その素晴らしさをPRする目的があった。

 登山は8月3~4日の予定だった。

 3日の午前7時半に、白山の登山口の一つ「別当出合(べっとうであい)」(同県白山市)を出発し、同日午後に山頂手前にある宿泊施設で1泊。翌4日の早朝に山頂に到着し、フィナーレの「ご来光」を見て、昼前までに下山するという旅程だった。

 県からは7月中旬に同行取材の募集があった。登山用のヘルメットやストックなどがレンタルされるが、宿泊費や食費など1人あたり1万1300円は各報道機関の負担だ。

 馳知事は、衆院議員を辞して今年3月の知事選に立候補し、当選した。

 就任後も記者会見やイベント時など、限られた時間しか取材に応じない。就任から約5カ月が経ち、今回の同行で馳知事の「素の姿」を見られたり、本音に迫ったりする機会があるかもしれない。白山を取り上げるよいきっかけになることも考え、参加を申し出た。最終的には、新聞3社、放送3社の計6社の記者やカメラマンら11人が参加した。

登山前の天気予報は「雨」

 登山予定日の5日前、県はメディア向けの説明会を開いた。この時の週間天気予報は、8月3、4日ともに雨。担当者や報道陣の間では「ご来光は無理なのでは」と話題になった。

 登山前日の午後9時過ぎだった。翌日に備え、寝ようとしていた私の携帯が鳴った。

 県の担当者からで、「3日午後に雨予報が出ているため、登山予定を1時間早める」との内容だった。改めて天気予報を見ると、担当者の言う通り、3日午後は雨。ただ、この時点で災害級の大雨になるとは、知るよしもなかった。

 登山当日の午前6時過ぎ、報道陣が別当出合に向かうと、馳知事、県職員ら11人がすでに到着していた。

 「おはようございます!」

 5年ぶりの白山登山を前にした馳知事のあいさつには、力が込められていた。初めて登ったのは1996年で、以後20回以上、白山を登った経験があり、「仲間を確認しながら登りたいと思います」と述べた。

 この日は、山頂手前で宿泊する「白山室堂ビジターセンター」までの登頂だった。休憩を含め、約7時間の所要時間を予定していた。登山の直前、報道陣に意気込みを聞かれると、「目標は6時間で到着できるように頑張ります」と笑顔で言った。

 知事自らリードして全員で準備運動をした後、計22人の一行が出発したのは午前6時40分ごろ。空は薄い雲に覆われて、太陽こそ見えなかったものの、雨の気配は感じなかった。

知事の驚くべき行動、変わる天候

 序盤は一行のペースに合わせ、ゆっくりと進む馳知事。しかし、午前10時過ぎ、昼食休憩をとる予定だった「甚之助避難小屋」(標高1970メートル)周辺から様子が変わった。

PR登山に臨んだ馳浩知事は、同行の県職員も想定しない行動に出ました。そして、石川県内を襲った記録的な大雨。足止めされ、県庁に戻れなくなった知事は旅館で報道陣の取材に応じました。登山の一部始終は、記事末尾の動画でもご覧いただけます。

 小屋の手前にあった広場で十…

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