「購入した県立病院跡地から廃棄物」 岩手・軽米町、賠償拒む県提訴

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 岩手県軽米町は8日、図書館などの交流施設を建設しようとした県立病院跡地から医療廃棄物が見つかったとして、県などを相手取り、撤去費用など約1億9532万円の損害賠償を求めて盛岡地裁に提訴した。

 原告側によると、埋設から数十年経過した医療廃棄物について、原状回復義務違反を理由に賠償責任を問う訴訟は前例がないという。

 軽米町によると、町は2017年に旧県立軽米病院の跡地を購入し、20年に交流施設「かるまい交流駅(仮称)」を着工した。ところが、土中から注射針や薬の瓶などが見つかり、環境調査をした結果、鉛成分も検出された。埋設廃棄物は周辺の土壌を含めて約527トンに上った。

 県は発覚後、「費用は負担する。対応を進めて欲しい」としていたが、昨年3月、「数量などを明らかにしてほしい」などと難色を示し始め、1970年の廃棄物処理法制定前の埋設だったとして「賠償責任はない」と態度を翻したという。町は土壌の撤去費用や工事遅延による延期補償金などを求め、提訴に踏み切った。

 旧県立軽米病院は42年に診療所として開設され、69年に閉鎖した。その後、一部の建物は幼稚園や町営の独身寮として使われていた。交流施設は図書館や公民館などを備え、この問題の影響で9カ月遅れの来年7月にオープンする予定。

 この日、県庁で会見した山本賢一町長は「訴訟により公正公平な判断を求めるしかないと苦渋の決断をした。県が投棄、汚染の責任を否定しようとするのは残念。鉛の汚染が放置され、近隣町民に危険な状態だった」と訴えた。

 県の小原勝医療局長は「訴状の内容を確認し、お互いの主張の相違点を整理しながら、県と町の双方が納得できる解決に向けて取り組んでまいりたい」とコメントした。