心の強さは元Jリーガーの父譲り 4番外された天理・内藤が先制打

篠原大輔
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 (8日、第104回全国高校野球選手権大会1回戦 天理2-1山梨学院)

 打つべき人が打ち、天理の29回目の夏は続いた。

 奈良大会のチーム打率は3割9分3厘だったが、4番の内藤大翔(やまと)(3年)は2割6分3厘と蚊帳の外だった。この日、中村良二監督は内藤を6番に下げた。

 山梨学院との戦いが投手戦になるのは想定内。少ないチャンスを生かさなければ勝てない。天理に2度目のチャンスがやってきた。

 0―0の四回1死から、4番に座った主将の戸井零士(3年)が左翼線を破る二塁打。5番山村侑大(3年)は中飛に倒れ、内藤が右打席へ向かう。

 中村監督からは山村の打席の間に、身ぶりを交えたアドバイスがあった。「スイングの軌道は悪くないからな。逆方向の意識で」

 1―1からの3球目、122キロのスライダーを引きつけ、監督の助言通り中堅右へ運ぶ。チームを勇気づける先取点。一塁ベース上で内藤の笑顔がはじけた。

 発想の転換があった。「奈良大会は甲子園に向けて『力をためてた』って考えることにしました」と内藤。同じくパッとしなかった戸井と「蓄えよう。甲子園で打ったらええねん」と言い合った。

 そして、きっちり最後の甲子園に合わせてきた。「まだ本調子じゃないですけど、ためたものが少し出ました」。心の強さは、サッカーJリーグの鹿島などで活躍した父・就行さん譲りなのかもしれない。

 奈良の仲間も背中を押してくれた。奈良大会決勝で対戦した生駒の保護者から、6日に紫の横断幕が届いた。体調不良で大幅に選手が入れ替わった生駒への配慮で、優勝しても喜ばなかった天理に感謝しているとの手紙が添えてあった。

 天理カラーの横断幕に見守られ、2回戦進出。いろんな人の思いをつないだ「天理野球」が、夏の甲子園で躍動し始めた。(篠原大輔)