第1回突撃して死んだ父、踏切に向かった母 女性が忘れようとした「戦争」

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佐々波幸子
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 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってまもない今年3月。薄暗い地下壕(ごう)で幼い女の子が震えながら泣いている映像が、テレビに映し出された。

 ニュースを見ていた東京都八王子市在住の守屋栄子さん(82)の脳裏に、忘れようと思っていた光景がよみがえった。

 「空襲警報が鳴るたびに実家の庭の防空壕に弟と駆け込み、震えていた自分の姿と重なったんです」

 守屋さんがまだ幼かった第2次大戦の頃、実家は八王子の街道沿いで荒物や金物を扱う店を営んでいた。庭の池をつぶして作った防空壕は、5歳だった守屋さんが立ち上がると天井に頭がついてしまうほどの狭い空間だった。

 「三つ下の弟と二人きりだったことで、余計に心細かった」。あれから77年。「いまも同じことを繰り返している。人間はなんて愚かなことをするんだろう」。湧き上がる怒りと悲しみを、そのまま短歌にした。

 4月24日、その一首は朝日新聞の短歌投稿欄「朝日歌壇」に掲載された。

 《地下壕にふるえ泣いてる栗色の髪の少女はあの日の私》

 守屋さんにとって、24年ぶりの投稿だった。

父は沖縄の喜屋武岬で戦死した

 守屋さんの短歌が初めて朝日歌壇に載ったのは、1991年2月24日。

 守屋さんは銀行勤務を経てホ…

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    奥山晶二郎
    (サムライトCCO=メディア)
    2022年8月12日11時49分 投稿
    【視点】

    31文字で表現する短歌は、コンパクトに情報を届けるSNS、特にツイッターと相性がいいフォーマットだと思います。 自分のSNSの投稿を振り返っても、短い表現で伝えられた時ほど、反応がよくて、逆にたとえばツイッターで140文字ぎりぎり詰め

連載三十一文字の思い 朝日歌壇から(全3回)

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