慌てずコツコツ…八回に機が熟した 市船橋打線が好投手攻略

福角元伸
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(8日、第104回全国高校野球選手権大会1回戦 興南5-6市船橋)

 金属バットをフルスイングして長打を狙う出場校が多い中、市船橋打線のスタイルはひと味違う。

 バットを短く持って、右打者は右肩、左打者は左肩付近に構える。重心を低くし、ボールをしっかりと見極める。自分で決めに行くのではなく、全ての打者に“つなぐ”意識が浸透。好投手の興南・生盛(せいもり)亜勇太(あゆた)を単打で追い詰めていった。

 序盤は140キロ台中盤の速球と、低めに鋭く曲がる変化球に苦しんだ。5点を先行された三回までに、わずか1安打。それでも選手たちは慌てず、海上(うながみ)雄大監督の指示を愚直に貫いた。

 「試合前、(生盛は)ボールが速いので全員バットを短く持とう。変化球を見極めることをテーマにしようと話していました」。コツコツと単打を積み重ね、五回までに3点を返した。

 そして、八回。球威が落ちてきたところで、打線がしぶとく食らいついた。

 1死から、4番片野優羽(ゆう)が「狙ったのではなく、塁に出るつもりだった」と、左翼へ1点差に迫るホームラン。さらに、2死一、二塁からは、2番手で登板していた森本哲星が、左翼線へ流し打って同点二塁打にした。「ちょうどいいところに飛んでくれました」

 チームが11安打した中で、長打はこの2本だけ。コンパクトに振り抜いた結果が値千金の長打を生んだ。回を重ねるごとに、生盛の投球に打線が適応。九回はその相手エースを引きずり下ろし、サヨナラ死球の幕切れにつなげた。

 これで、市船橋は春夏通じて甲子園では25年ぶりの白星。1997年夏の3回戦・甲府工(山梨)戦以来となる勝利の校歌が流れた。「悲願であったのは確かでしたし、たくさんの応援があってこの結果になった。感謝の気持ちで次に臨みたい」と海上監督。一丸で戦える総合力こそが、今夏の“イチフナ”の強みだ。(福角元伸)