20歳になるティムリは、学校に行ったことがなく、読み書きはほとんどできない。まだ遊びたいと思っていた17歳の時、親戚の紹介で20歳年上のハンのもとに嫁ぐことになった。結納金として夫側から25万アフガニ(約37万円)が支払われた。

 アフガニスタン西部のヘラート郊外で、やせ細ったティムリは2歳の娘を連れて、私の前に現れた。家の壁は土と泥と小石でできていた。電気やガス、水道は通っていない。水は近くの給水所まで取りに行かなければならない。

 昨年8月にイスラム主義勢力タリバンが復権した後、国際機関や各国大使館が撤退し、失業者が街にあふれた。露店で野菜や果物を売り、1日500アフガニ(約740円)ほど稼いでいた夫の収入は、ほとんどなくなった。

 食事は1日2回。薄いナンとお茶だけの日がほとんどだ。たまに売れ残りのスイカやタマネギを夫が持って帰ってきた時は、家族の会話が弾む。「ミルクを飲むのは、夢のまた夢」。肉をいつ食べたか、時間が経ちすぎて覚えていない。

【連載】混迷の十字路 アフガニスタン政権崩壊から1年
イスラム主義勢力タリバンがアフガニスタンの政権を崩壊させ、権力を握ってから8月15日で1年になります。国際援助が減り、失業や食料不足が暮らしを直撃しています。懸命に生きる人々の姿に迫ります。

 このままでは、家族全員が飢えてしまう。夫婦で話し合い、知人を通じて臓器売買のブローカーを見つけた。生活に苦しむ住民が、最後の頼みの綱としているのが、臓器の切り売りだ。タリバンは売買を歓迎していないが、秘密裏に取引は続いている。

 夫婦ともに腎臓を売りたいと申…

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