第6回アヘンを堂々と売買する国、一転 「貴重な収入源」断とうとする理由

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カンダハル=石原孝
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 「なめてもいいぞ」

 ひげを蓄え、青や茶色の民族衣装を着た仲買人の男たちは、そう言って袋を広げた。顔を近づけると、腐りかけの果実のようなにおいが鼻をついた。袋の底には、褐色の泥のような液体がたまっていた。

 取材の案内役の男性が小声で言った。「ケシの実からとれた汁だ。時間がたつと黒褐色の塊になる。それがアヘンだ」

 7月中旬、タリバンの本拠であるアフガニスタン南部カンダハルから、隣のヘルマンドとの州境に向かった。一帯はアヘンやヘロインの原料となるケシの世界的な産地として知られる。

 ケシの汁は幹線道路から少し外れたところにある市場で売り買いされていた。トマトやキュウリ、ブドウが積まれた市場の一角に、透明なプラスチック製の袋が並ぶ露店があった。あごひげを蓄えた男たちが、じゅうたんの上に車座で座っていた。ケシの汁を売りに来た栽培農家と仲買人が価格交渉を始めたところだった。

 「これは4キロちょっとだな」「いやもう少しあるはずだ」

 はかりの片方に分銅のようなおもりを重ね、もう片方に載せた袋の重さを量っていく。買い取り価格は重さだけでなく、品質や時期によっても変わる。

【連載】混迷の十字路 アフガニスタン政権崩壊から1年

イスラム主義勢力タリバンがアフガニスタンの政権を崩壊させ、権力を握ってから8月15日で1年。国際援助が減り、失業や食料不足が暮らしを直撃するなか、懸命に生きる人々の姿に迫る連載の最終回です。

 この日は1キロ当たり1万5千~2万アフガニの値がついた。日本円に換算すると、約2万2500~3万円。昨年8月にイスラム主義勢力タリバンが復権した後、ケシ栽培が禁止されるとの情報が飛び交い、価格は上昇した。栽培農家は満足そうにお金を受け取り、市場を後にした。

闇取引の実態は 仲買人を直撃

 いったいどれくらいの量のケシが、ここから世界に向けて運び出されているのか。

 調べてみると、闇取引の根深…

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