被爆77年、長崎で平和祈念式典 「核兵器をなくすことが唯一の道」

有料記事核といのちを考える

岡田真実
[PR]

 長崎に米軍の原爆が投下されてから77年となった9日、爆心地近くにある長崎市平和公園で平和祈念式典が開かれた。ロシアによるウクライナ侵攻で核をめぐる議論が活発になるなか、参列者らは核廃絶を強く願い、原爆投下時刻の午前11時2分に黙禱(もくとう)を捧げた。

 長崎市の田上富久市長は平和宣言で、「(核兵器を)持っていても使われないだろうというのは幻想。核兵器をなくすことが、未来を守るための唯一の現実的な道だ」と強調。2021年1月に発効した、核兵器を全面的に禁止する核兵器禁止条約への署名・批准を日本政府に迫った。

 米ニューヨークでは、米ロなど核保有国も参加する核不拡散条約(NPT)再検討会議が開かれている。田上市長は「核兵器を持つ国が増えることを防ぎ、核軍縮を進める条約として大きな役割を担ってきた」とした上で、「条約や会議で決めたことが実行されず、NPT体制そのものへの信頼が大きく揺らいでいる」と懸念。核保有国に「核軍縮の具体的なプロセスを示すことを求める」とした。

 被爆者代表として「平和への誓い」を読み上げたのは、宮田隆さん(82)=長崎県雲仙市。自身の77年前の被爆体験と現在のウクライナ侵攻を重ねながら、核廃絶を訴えた。

 誓いの冒頭、「ウクライナに鳴り響く空襲警報のサイレンは、あのピカドンの恐怖そのものでした」と、テレビを通して目にするウクライナの惨状に心を痛めているとし、「断じて許せません」と非難した。核禁条約については「被爆者と人類の宝です」と評価。田上市長と同様、日本政府に批准するよう訴えた。

 ウクライナ侵攻を受け、米国の核兵器を日本に配備して共同で運用する「核共有」の議論が、国内で活発になっている。「『力には力』の核依存思考で、断じて反対。今こそ日本は『核の傘』からの価値観を転換し、平和国家の構築に全力を挙げるべきだ」と訴えた。

 式典には、岸田文雄首相や国連軍縮部門トップの中満泉・事務次長、核保有国6カ国を含む83カ国の駐日大使らが参列。岸田首相は広島での平和記念式典に続き、あいさつで核禁条約に触れなかった。

 今年の式典で奉安された原爆死没者名簿には、この1年間に死亡が確認された3160人の名前が新たに記された。長崎被爆者らの死没者名簿の総数は、19万2399人になった。(岡田真実)

■高校生が「人間の鎖」 核兵…

この記事は有料記事です。残り281文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
核といのちを考える

核といのちを考える

被爆者はいま、核兵器と人類の関係は。インタビューやコラムで問い直します。[記事一覧へ]