「二度と私をつくらないで」 平和宣言で受け継がれる被爆者の願い

有料記事核といのちを考える

榎本瑞希
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 「二度と私をつくらないでください」。今年の長崎平和宣言は、被爆時の外傷がもとで半身不随となり、反核・平和を訴えた渡辺千恵子さん(1928~93)の言葉で始まった。

 長崎市の平和宣言は毎年、市民十数人が話し合って文案を練る。被爆者の八木道子さん(83)は今年、被爆の語り部を代表して初めて参加した。

 5月の初会合で、大学教授やNGOの代表らが国際情勢の現状や平和への思いについて意見を出し合った。議論を聞いていた八木さんの頭にふとよぎったのが、17歳のときに見た渡辺さんだった。

 56年、前年の広島に続き、長崎で原水爆禁止世界大会が初めて開かれた。八木さんは友人に誘われ、会場に手伝いに出かけた。そのときの渡辺さんの姿を会合で紹介し、宣言文に盛り込まれた。

 「渡辺千恵子さんが会場に入ると、カメラマンたちが一斉にフラッシュをたきました。会場から『写真に撮るのはやめろ!』『見せ物じゃないぞ!』という声が発せられ、その場は騒然となりました」

 「その後、演壇に上がった渡辺さんは、澄んだ声でこう言いました」

 「『世界の皆さん、どうぞ私…

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