転機迎えた東アジアサミット 異なる「中国への視線」の背景とは

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聞き手・牧野愛博
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 8月5日の東アジアサミット(EAS)外相会議は、中ロ両国外相が一時退席するなど、荒れた展開になりました。アジアで重要な安保対話の枠組みが揺れています。防衛省防衛研究所の庄司智孝アジア・アフリカ研究室長は「日本と東南アジアでは、中国への視線が大きく異なる」と語ります。

 ――中国の王毅(ワンイー)外相とロシアのラブロフ外相は5日の会議で、林芳正外相がスピーチを始めると一時的に退席しました。

 EASは2005年から、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に始まり、日本は第1回会議から参加しました。日本は東南アジアへの中国の影響力拡大を牽制(けんせい)するためには米国の参加が必要だと考え、中国は狭義の「東アジア」(ASEANと日中韓)による会議を主張していました。米ロ両国は11年の第6回会議から参加しています。

 米中も参加する首脳会議として、細かな問題について議論して結論を出すというより、特に米中間の対立の激化を背景に、お互いの意見を述べ合うだけの場になる傾向がありました。ロシアによるウクライナ侵攻や台湾海峡を巡る緊張の発生で、EASは更に、お互いを批判し合うだけの場になってしまうかもしれません。

 EASだけではなく、人道支援や災害救援協力など、一定の具体的な成果を上げてきた拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)でも加盟国間の協力が困難になるかもしれないと懸念しています。

「東南アジアに最も影響力がある国はどこか」

 ――ASEAN諸国に対する…

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